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2013年7月25日木曜日

18. 既存の著作からの観察子の構造の大幅な変更(2)

次に、ヌーソロジー関連の既存の著作からの変更点のうち、大事なものは、ある観察子の1~12が1セットになって次の種類の観察子の1(あるいは1~2)となっていたのが、ある観察子の1~8が1セットになって次の種類の観察子の1~2となるように変更されたことです。

これにはもう少し説明が要ります。とりあえず、次元観察子の例にとって説明してみましょう。次元観察子は、cave compassと呼ばれる円形の羅針盤モデルでは、

○ψ1(青),ψ2(赤)…180度隔てて互いに向かい合い、角度は22.5度ずつ。
○ψ3(青),ψ4(赤)…180度隔てて互いに向かい合い、角度は45度ずつ。
○ψ5(青),ψ6(赤)…180度隔てて互いに向かい合い、角度は90度ずつ。
○ψ7(青),ψ8(赤)…180度隔てて互いに向かい合い、角度は180度ずつ。

となっています。




つまり、

 ψ1(22.5度)→ψ3(45度)→ψ5(90度)→ψ7(180度)
 ψ2(22.5度)→ψ4(45度)→ψ6(90度)→ψ8(180度)

は、それぞれ円弧が倍々ゲームで増えて行く方式で発展しているということです。それで、ここから次の段階に行く時、つまり、それぞれ、青の流れがψ9、赤の流れがψ10へと発展するとき、「凝縮化」という現象が起きて、

 ψ7→ψ*1
 ψ8→ψ*2

というふうに、自己側のψ7,ψ8がそれぞれ他者側のψ1,ψ2のレベルであるψ*1,ψ*2へと圧縮されるようなことが起きるわけです(この「圧縮されるようなこと」というものがどういうものであるかは、まだ詳しいところは私にはわかりません)。同様に、それより上位は、

 ψ 9→ψ*3,  ψ10→ψ*4
 ψ11→ψ*5,  ψ12→ψ*6
 ψ13→ψ*7,  ψ14→ψ*8

となります。

そして、実は「凝縮化」というのは、ある種の「潜在化」のようなもので、これに相対して、「顕在化」方向に発展していく動きが、

 ψ 7→Ω1,  ψ 8→Ω2
 ψ 9→Ω3,  ψ10→Ω4
 ψ11→Ω5,  ψ12→Ω6
 ψ13→Ω7,  ψ14→Ω8

という動きです。実際には、ψ7はψ1,ψ3,ψ5を、ψ8はψ2,ψ4,ψ6を、それぞれ含んでいますから、顕在化は、

 ψ 7→Ω1,  ψ 8→Ω2

となる、と言う代わりに、大雑把には、

 ψ1~ψ7→Ω1, ψ2~ψ8→Ω2

となる、さらには、

 ψ1~ψ8→Ω1~Ω2

となる、と言ってもいいわけです。これが次元観察子ψ1~ψ8が1セットになって、次の大系観察子Ω1~Ω2となるということの構造的な意味になります。

2013年7月19日金曜日

17. 既存の著作からの観察子の構造の大幅な変更(1)

さて、前回さらりとまとめたヌーソロジー関連の既存の著作からの変更点は、とても大事な点なので、もう少し触れておきましょう。

まず、『2013:シリウス革命』が手元にある方は、p.104~p.107辺りの本文の説明およびp.105の図3をご覧になって下さい。

ここでは、

○プレアデスの内面(ψ1~ψ12)……反性質が存在しているところ
○プレアデスの外面(ψ*1~ψ*12)…反定質が存在しているところ
○シリウスの内面(Ω1~Ω12)………定質が存在しているところ
○シリウスの外面(Ω*1~Ω*12)……性質が存在しているところ

となっています。ところで、ヌーソロジーにおいて、特に重要な概念が「定質」「性質」「反定質」「反性質」および「思形」「感性」それに「凝縮化」です。「思形」「感性」は観察子の種類を超えて観察子番号の9,10のところで登場しますし、「定質」「性質」は観察子の種類を超えて観察子番号の11,12のところで登場します。そして、「反定質」「反性質」は、何らかの形で「定質」「性質」とは反対方向の力を持つようです。

前述した通り、観察子番号は1~12から1~14となっており、凝縮化において1~12が1セットになる考え方も1~8が1セットになる考え方に変更されています。この関係で、上記は、

○プレアデスの内面(α1~α14=ψ1~ψ8=Ω1~Ω2)…………反性質が存在しているところ
○プレアデスの外面(α*1~α*14=ψ*1~ψ*8=Ω*1~Ω*2)…反定質が存在しているところ
○シリウスの内面(ψ1~ψ14=Ω1~Ω8)…………………………定質が存在しているところ
○シリウスの外面(ψ*1~ψ*12=Ω*1~Ω*8)……………………性質が存在しているところ

となるのではないかと考えます。そして、本来、「定質」「性質」は観察子番号の11,12のところですから、観察子番号13,14は「定質の総体」「性質の総体」と言われるようです。それが2段階に凝縮化したものが観察子番号1,2となって表われ、「反定質」「反性質」として扱われることになるのではないでしょうか。

おそらく、

○プレアデスの内面・外面=PSO回路のプレアデス・プレート=人間の元止揚空間
○シリウスの内面・外面 =PSO回路のシリウス・プレート =ヒトの元止揚空間

というふうに対応すると考えています。つまり、『2013:シリウス革命』に描かれていたタカヒマラ・テンプレートは、タカヒマラの全体構造であるPSO回路の7階層バージョン(あるいは4階層バージョン)のプレートの2階層分に相当するというわけです。

2013年7月14日日曜日

16. 観察子の種類と構造の概略

さて、ここで、いよいよヌーソロジーにおける観察子の種類と構造の概略を述べておきましょう。構造と聞いた途端に「難しい!」と感じることはありません。あくまでも、ヌーソロジーにおける壮大な世界観を説明するための、便宜的なモデルのようなものくらいに考えておくのが無難でしょう。ここではおぼろげにでもつかんでおけば十分でしょう。

まず、観察子の種類は、次の4種類があります。

●空間観察子:(自己側)α1~α14、(他者側)α*1~α*14
●次元観察子:(自己側)ψ1~ψ14、(他者側)ψ*1~ψ*14
●大系観察子:(自己側)Ω1~Ω14、(他者側)Ω*1~Ω*14
●脈性観察子:(自己側)Φ1~Φ14、(他者側)Φ*1~Φ*14

『2013:人類が神を見る日』(1997)『2013:シリウス革命』(1999)『光の箱舟-2013:超時空への旅-』(2001)という既刊3部作では、空間観察子、次元観察子、大系観察子までの3種類しかありませんでした。しかも、番号も各々12までしかなく、13は単に1~12の取りまとめ的なものとしてのみ、扱われており、これら1セットが次の種類の観察子の1に候するとのことでした。結局、簡単にまとめると、以下のように、変更になったというわけです。

○4種類目の観察子として「脈性観察子」Φが追加された。
○各観察子が1~12⇒1~14へと変更された。
○1~12が1セットで次の1となる⇒1~8が1セットで次の1~2となる。

そもそも、『2013:シリウス革命』p.172では、

●空間観察子…主に「物質」の次元で使われる。
●次元観察子…主に「意識」の次元で使われる。
●大系観察子…主に「イデア」の次元で使われる。

とされており、キリスト教の父と子と聖霊ならぬ、物質と意識とイデアという三位一体(トリニティ)の構造を作っているとしていたのでした。とすると、脈性観察子は、何の世界を説明することになるのでしょうか。もし、これが、

●脈性観察子…主に「生命」の次元で使われる。(個人的予想)

だとしますと、非常に面白いことになるわけです。つまり、イデアを超えているのが生命ということになるわけです。そう言われても、一体何を言っているか思考が停止してわからなくなりますが、ついつい精神と物質の関係を無機質的なものに考えがちな私たちにとっては興味深い観点を与えてくれることになるかもしれません。

この空間観察子、次元観察子、大系観察子、脈性観察子という4種類の観察子は、それぞれプレアデス、シリウス、オリオン、シリウスの上次元という一見天文関連の言葉のような4種類の精神の構造とも関係し、さらにそれらは、人間、ヒト、真実の人間、ヒトの上次元(もしくはヒトの総体)の精神の内部構造と関係するようだ。私たちのごくふつうの常識では、プレアデス、シリウス、オリオンという言葉は、それぞれ牡牛座の一部を構成する星団、恒星、星座もしくは星雲の名前でした。しかし、コウセンさんがオコツトと呼ばれる謎のソース源からチャネリング的に受け取った情報である「シリウス・ファイル」における独特の文法構造である「シリウス言語」の文脈の中では、それらはある種の段階の精神の構造に対する呼称のようなものと捉えた方がいいと考えます。

もう一度簡潔にまとめておくと、対応性は、

●空間観察子⇔プレアデス   ⇔人間の精神の内部構造
●次元観察子⇔シリウス    ⇔ヒトの精神の内部構造
●大系観察子⇔オリオン    ⇔真実の人間の精神の内部構造
●脈性観察子⇔シリウスの上次元⇔ヒトの上次元の精神の内部構造

という感じになります。これが果たしてそのままイコールになるか否かは十分な検討が必要となると思われます。宇宙のすべての存在とも言えるタカヒマラの構造に対する、現時点での最新モデルである「PSO回路」(7階層バージョン)では、

●空間観察子:α1~α8,α*1~α*8⇔スマル・プレート(プレアデス・プレートの下位構造)
●次元観察子:ψ1~ψ8,ψ*1~ψ*8⇔プレアデス・プレート
●大系観察子:Ω1~Ω8,Ω*1~Ω*8⇔シリウス・プレート
●大系観察子:Ω9~Ω10,Ω*9~Ω*10⇔オリオン・プレートのサターン・ルーラー・プレート
●大系観察子:Ω11~Ω12,Ω*11~Ω*12の前半⇔オリオン・プレートのウラヌス・ワーカー・プレート
●大系観察子:Ω11~Ω12,Ω*11~Ω*12の後半⇔オリオン・プレートのネプチューン・スイマー・プレート
●脈性観察子:Φ1~Φ14,Φ*1~Φ*14⇔セブン・サンズ(七つの太陽系)・プレート

という対応になっています。これらについては、機会があれば、もう少し丁寧に見ていくことにして、ここでは名称程度にとどめて、詳しい説明は保留にしておきましょう。






2013年7月10日水曜日

15. ノウスとノス

ここで、以前「ヌース」の意味のところで採り上げた、シリウス言語の「ノウス」と「ノス」について触れておきましょう。この説明には、「ケイブユニバース」(洞窟宇宙)の図を用いるのがわかりやすいでしょう。

簡単に言えば、この宇宙を構成する2つの力の流れがあって、それらをそれぞれ青と赤の流れに喩えて描くなら、先行する宇宙の能動力が青の流れで、これを「ノウス」(NOUS/NOOS)と呼びます。これは、いわば創造の力です。この創造を受け取る受動的な力が赤の流れで、これを「ノス」(NOS)と呼びます。

ちなみに、『NOOS LECTURE 2009-2010 LIVE DVD Vol.2』の中で、ノウスとノスについては、シリウス・ファイルからの直接引用として、こんなふうに述べられています。

●ノウス(NOUS/NOOS)
等化として作り出していく力のすべて。次元が働きの方向性を変えるときに生まれるもの。止核精神を拡散させ、表相の対化を顕在化させる。位置の開花を起こさせていくもの。回転力。旋回力。ノウスとヌースは全く同じ意味を持つ。

●ノス(NOS)
中和として作り出されていく力のすべて。表相を見つめさせているもの。人間が持った反性質の本質力。人間に人間の外面の意識の方向をもたらしているもの。ただし、ノスは意識進化自身には交差を行えない。人間の創造活動や自我を生み出すためには必要なもの。力の抽出を操作するもの。ノスが下次元の交差を行い、ノウスは上次元の交差を行う。ノウスの逆性が物質(人間の内面の意識)で、ノスの逆性が意識(人間の外面の意識)。ノウスとノスを等化するときに生み出されるものが有機体ノウス。ノスとは有機体。

これでは少し難しすぎますので、もう少しわかりやすいものを、他から引用させて頂きましょう。

この「ノウス」と「ノス」という2つの力の流れは、いわば、宇宙の2種類のセクシュアリティーと言えるものです。そのことについて、『2013:シリウス革命』の中で、まず、人間におけるセクシュアリティと関係づけて、前書きとしてこんなふうに語られています。

「古代人たちの世界観はとてもセクシュアルだ。太陽と月の結婚、イザナギとイザナミの交わり、プルシャとプラクリティーの結合など、そこには、つねに性的官能を意識した宇宙観が見てとれる。そして、彼らは、その官能的な眼差しを、火と風と水と土など、自然の中のありとあらゆる光景の中に注ぎ込み、万物の底辺でうごめくエロスの胎動をじかに感じ取ろうとしていた。つまり、彼らにとって、セクシャリティーとは宇宙の始源とダイレクトにリンクした神話的要素だったのである。」(『2013:シリウス革命』p.335)

私たち、近代以降の「人間」にとっては、「セックス」だとか「性欲」といった言葉自体、公の場で使うこと自体憚られるような「気恥かしさ」を持っています。文明人であればあるほど、表ではそのことを隠しておかなければいけないような風潮があるのではないでしょうか。こうした「気恥かしさ」自体が、純粋な躍動的エネルギーであった、その根底にある、創造の力をすっかり覆い隠してしまったとも言えます。このことは、よく「権力」との関係としても採り上げられるテーマでもありますが、ここではそのことは置いておきます。

とにかく、こうした前書きを踏まえて、オコツトとの交信記録として、人間の男女の性欲の違いに関して、こんなやり取りを載せています(コはコウセンさん、オはオコツト)。

コ「人間が持つ性欲とは何なのですか。」
オ「ノウスとノスのことです。」
コ「ノウスとノスとは何ですか。」
オ「周回作用の対化における核のようなもの。」
コ「周回作用の対化とは?」
オ「タカヒマラにおける意識の流れの核に当たるものです。精神の対化を生み出すために作り出された付帯質の変換を行っている二つの方向性の力。」
コ「つまり、それは反定質と反性質を意味しているのですか?」
オ「そうですね、同じものだとも言えますが少し違います。ノウスとノスは反定質と反性質を作り出している力の本質のようなものです。」
(『2013:シリウス革命』p.336)


この後、ノウスとは女性の性欲、ノスとは男性の性欲のことであり、周回作用の方向性としては全く逆方向に働かされているものだと述べられます。逆に言えば、ノウスとは宇宙の原初的女性性、ノスとは宇宙の原初的男性性と言えるものなのかもしれません。は、前述の「ケイブユニバース」の図を用いて言えば、宇宙には、大きな2種類の流れがあって、それは反対方向に周回していて、その2種類の流れが激しくぶつかり合うのが、私たちが意識しているこの「時空」だと言うわけです。

「目覚めると雷鳴の巣のなかにいた」

コウセンさんとも親交の深い詩人である河村悟さんのそんな詩を思い出します。それこそが、私たちがまさしくリアルだと感じている、この「時空」のことなのではないか、と。

2013年7月5日金曜日

14. 宇宙のすべて=タカヒマラという構造

ここで、観察子の背景にある世界観をもう少し眺めておきましょう。まずは、タカヒマラについてです。

ヌーソロジーでは、およそ存在と呼べるもの、そのすべてを送り出している宇宙精神のシステムのようなものを「タカヒマラ」と呼んでいます。このタカヒマラというのは、要するに、宇宙のすべてとも言えるものですが、実はそれはどこかの特別な場所ではなく、まさしく私たちがふつうに生きて暮らしている、いまここの現場のことです。

このタカヒマラの構造を表現するモデルは、これまで幾度も変遷してきました。最初に、『2013:人類が神を見る日』(1997)p.69の図3-1として登場したものが、青と赤の2本の二重螺旋の絡み合いのような定在波的なモデルでした。この2本の青と赤の定在波的な力の流れは、それぞれ定質と性質と呼ばれ、さらにそれに抗うな力の流れとして反定質と反性質と呼ばれるものが示されていました。

次に、『2013:シリウス革命』(1999)p.32の図3として登場したものが「タカヒマラ・テンプレート」と呼ばれるもので、定質と性質の流れを表す、水平方向の2枚のC型プレートからなる「シリウス・プレート」と、で、反定質と反性質の流れを表す、傾斜方向の2枚のC型プレートからなる「プレアデス・プレート」で構成されました。

続いて、『光の箱舟-2013:超時空への旅-』(2001)p.25の図2として登場したものが「ケイブ・ユニバース」と呼ばれるものでした。これは、7つのホロノミーからなる、ウロボロス的な円環構造です。ここで、「ウロボロス的」と言っているのは、自分の尻尾を食うウロボロスの蛇のごとく、7つ目のホロノミーが1つ目のホロノミーにリンクするような構造になっているからです。

最後に、一番最新のタカヒマラのモデルが、ネット上の旧ヌースアカデメイア・サイトで公開されていた「PSO回路」です。これは、この頃から次元観察子の説明によく用いられるようになった「ケイブコンパス」(cave compass)の連鎖で繋げていくようなモデルであり、どこを切ってもケイブコンパスという感じの構造です。「PSO回路には、空間観察子α、次元観察子ψ、大系観察子Ω、脈性観察子Φという、単純に4枚のプレートで構成される「4階層バージョン」と、プレアデス・プレートが2枚(空間観察子αによるスマル・プレート、次元観察子ψによる狭義のプレアデス・プレート)、シリウス・プレートが1枚、オリオン・プレートが3枚(大系観察子Ω9~Ω10のサターン・ルーラー・プレート、大系観察子Ω11~Ω12前半のウラヌス・ワーカー・プレ-ト、大系観察子Ω11~Ω12後半のネプチューン・スイマー・プレート)、脈性観察子Φによるセブン・サンズ・プレートが1枚という、合計7枚のプレートで構成される「7階層バージョン」があります。ここでは、7階層バージョンの図を採り上げておきましょう。

以上は、宇宙のすべての存在を構成するタカヒマラの構造を理解するために、各観察子が便宜的に巧妙に配置したモデルであり、新しいモデルが提示されるほど、より単純化された、わかりやすいものとなっているように思います。

13. 観察子の背景にある世界観

それでは、ヌーソロジーにおいて「観察子」と呼ばれるものとは何でしょうか。『2013:シリウス革命』(1999)にこんな記述があります。

「普通、僕らは宇宙や意識が物質から発生しているものと考えているが、彼らの考え方は、それらをすべて空間の構造に由来するものとして考えている。ファイルの中でオコツトが「意識とはカタチの反響です」と言ってるのも、彼らのそういった世界観からくるものだ。そのため、彼らにとって、意識構造と空間構造という概念は全く同じ意味合いを持っている。事実、オコツトはタカヒマラのことを意識の次元階層とも呼んだし、空間が持つ次元の階層性という言い方もした。そして、そもそも「次元」という概念自体が、純粋幾何学的なものであり、本来、幾何学というのは、意識が生起するための空間構造として成立しているというのだ。つまり、彼らシリウスの知性にとって、意識とはある一つの巨大な幾何学構造体なのである。そして、彼らは、この構造体を組み立てている空間的部材に対して、「観察子」という概念を用いているのである。
 「観察子」という言葉はちょっと、とっつきにくいかもしれないが、次のように考えると理解しやすいだろう。
 僕ら人間の世界では、宇宙の構造を解明するために「粒子」という概念を用いている。粒子とは、宇宙が物質でできているという考え方にもとづいて作り出された概念であり、実際、物理学や化学といった学問では、物質を分子や原子、そして素粒子に分解し、宇宙で起こる様々な現象の本質について探っている。これらとは対照的に、オコツトたちは、宇宙とは空間、つまり、さきほどの言い方を用いれば、意識で作られていると考えている。そして、その意識の仕組みを分析するために使用されているのが、この観察子という概念だと考えてほしい。そして、物質粒子に、原子や分子といった種類があるように、観察子にも、空間観察子や次元観察子や大系観察子などといった分類を設けているわけだ。」(『2013:シリウス革命』p.107~p.108)

要するに、この「意識構造と空間構造を同じものとして見る」という考え方を用いて、ヌーソロジーは物質と意識の統一を目論んでいるわけです。そして、こんなことが書かれています。

「前頁の脚注欄にある図を見てほしい。この三角形は、シリウスの宇宙観にとって、意識と物質がどのような仕組みによって構造化されているかを最も単純化して表したものだ。この三つの球体はそれぞれ、物質、意識、イデアを表している。イデアとは平たくいうと、数や幾何学が支配する完全な思考世界のようなものだと思ってもらえばいい。
 図にある通り、オコツトたちにとっては、まず、物質世界は意識世界の一部になっており、次に意識世界は、イデアの世界の一部に含まれたものとなっている。そして、面白いことに、最も上次元であるはずのイデア世界が、今度は、元の物質の世界にそのまま組み込まれているような構造になっているわけだ。
 この三位一体(トリニティ)の関係は、僕らが物質と呼んでいるハードなリアリティが、実は、観念によって生み出されたイデアの影のようなものでしかないということを物語っている。オコツトによれば、これら、物質、意識、イデアという三者は、タカヒマラにおいては全く対等な存在であり、それぞれが相互に補完し合って成立させられているというのだ。この図では、かのプラトンが主張したほどイデア世界の絶対性は強調されてはいないが、いずれにしろ、シリウスの宇宙観が、物質世界をイデアの写し絵だと見る古代の伝統的な宇宙観にきわめて似ていることは確かなようだ。」(『2013:シリウス革命』p.110)

ちなみに、この前頁の脚注欄にあるイデアと意識と物質という3つの球体を頂点とする三角形の図を見て、すぐに、次の「ペンローズ三角形」およびそれを駆使したペンローズの3つの世界の関係の図を思い浮かべた人は、かなりの情報通かもしれません。

3つの世界と言えば、よく精神と物質という2つの世界の間に生命を置いたりします。カール・ポパーは、精神的世界と物質的世界に文化的世界を加えています。これに対して、数学者ペンローズは、複数の著書の中で、精神的世界(Mental World)と物質的世界(Physical World)にプラトン的世界(Platonic World)を加えて、しかも、それを、まるで、ジャンケンのグー・チョキ・パーの三つ巴関係にも似た、捩れを持った三角形である「ペンローズ三角形」の3つの頂点として描いています。ペンローズにとって、このプラトン的世界とは、数学的な世界のことのようです。

では、ヌーソロジーのイデアと意識と物質が、そのままペンローズのプラトン的世界と精神的世界と物質的世界に綺麗に対応するかと言えば、似ているとはいえ微妙で、そもそもヌーソロジーでは「精神」という言葉自体を、「対化を等化する力そのもの」として、私たちが通常「精神」と呼ぶものよりも、広範囲というか、むしろ幾何学的なものとして捉えており、意識とは上位の精神構造によってもたらされるある種の反映物と言った方がよさそうです。

さて、イデアと意識と物質は、『2013:シリウス革命』の時点では、それぞれ綺麗に、イデアが「大系観察子」Ω、意識が「次元観察子」ψ、物質が「空間観察子」αというように、観察子の種類の違いとなって対応していました。今は、まるでこの「ペンローズ三角形」を眺める視点を加えて「ペンローズ四面体」とでも拡張するかのごとく、「脈性観察子」Φが追加されています。